中小企業において、どうしても資金繰りが回らない見通しとなった場合、固定費の削減に取り組む必要があります。そういった場合、最も大きな経費である人件費の削減に着手し、賞与カットや人員削減を実行していくと思います。
ここでひとつ、私が経験した業績悪化企業の事例をご紹介します。
ある金融機関の担当者が社長に、工場で働く社員10名の削減を指示しました。社長は、これを工場長と一緒に削減計画に落としていきましたが、業務を回していくためには指示通りの人員削減が出来ないことが判明しました。しかし、金融機関側は人員削減ありきでリスケジュースの更新を要求したのです。
すると、相当なプレッシャーを感じた工場長は自ら退職を願い出てしまいました。これにより、逆に現場の大混乱を招いてしまい、ミスや外注費の増加などによって、より一層収益が悪化してしまったのです。
以上のことからも、安易に‘リストラ’を進めるのではなく、現場のことを考え、最優先に取り組むべき課題は何なのかを考えることが大切になると言えます。中小企業は少ない人員で回しており、一人ひとりの業務量が多いため、人員削減は非常に難しいのです。